■昇段リポート 黒帯への道 空手LIFE 2012.Jun No.59 6月号より

黒帯に相応しい人間に                           井上大助

 この度は昇段のお許しを頂き、ありがとうございます。私が極真空手の門を叩いたのは

約9年前、先に道場に通っていた従兄弟に誘われたのがきっかけでした。

 私は昔から飽きっぽい性格で何をやっても長続きせず、今までやり通したと言える物は

一つもなかったので、そんな中途半端な自分を変えようと黒帯を取るまでやめない事を

目標に入門しました。しかし、稽古はとても厳しく、入門後しばらくは基本だけで気持ち

が悪くなり、組手では毎回叩きのめされ怪我が絶えませんでした。 又、同期の道場生

と比べても自分が一番劣等生だったので、自信も持てず稽古も休みがちになっていきま

した。 途中、1年近く稽古から遠ざかった時期がありましたが、その時このままでいいの

か?と自問自答を繰り返した末、黒帯という遠い目標の前に、まずは行ける稽古は絶

対休まないという目先の目標を立てました。 それ以来出来なかった事が少しずつ出来

る様になり、大会に出る様になってからは目標や張り合いが出てきて、どんどん空手が

楽しくなっていきました。 そんな中、今年の一月の冬季合宿中に6月の昇段審査受審

のお許しを頂きました。 自分にはまだ先の事と思っていたのでとても意外で驚きましたが、

告げられた時は今まで自分なりにやってきた事が認められた様でとても嬉しかったです。

合宿後は5月の県大会と6月の審査に向けて稽古していましたがが、途中震災が

あり県大会は中止となり、稽古場所の各施設は避難所や損壊などで使用出来なくなり、

審査までの稽古は一人での自主トレが中心となりました。しかしそんな状況でも熊田

先輩や舩木先輩が時間や場所を確保して何度か稽古の機会を作ってくれたおかげで、

良いコンディションで審査当日を迎える事が出来ました。 審査までの間先輩方には本

当にお世話になりました。ありがとうございました。迎えた審査当日は、2年ぶりの審査

でとても緊張しました。 最初の基本だけで汗が噴き出し、足の震えも止まりませんでし

た。補強の拳立てとスクワットは逆に緊張感があるおかげで出来ましたが、型では頭が

真っ白になり、稽古でも間違った事のない型を間違えてしまいました。 最後の10人

組手は10人中5人は同じ会津道場の先輩方で、情けない組手は出来ないと意気込

んでのぞみましたが、終わってみれば自分の稽古不足と根性の無さが露呈した内容と

なってしまい、後になってとても悔しさが込み上げました。 今回昇段のお許しは頂きま

したが、今の自分はまだ黒帯に足る人間ではありません。これから新たな目標を立てて

精進し、黒帯を締めるに相応しい人間になれる様努力していきたいと思います。

 最後に、昇段をお許し下さった三瓶先生、黒帯の諸先輩方、応援して下さった皆さ

ん、そして会津道場の皆さん、本当にありがとうございました。押忍